Rの基本パッケージ stats 中の古典的検定関数の簡易説明
R は豊富な代表的古典的検定関数(パラメトリック、ノンパラメトリック検定)を持つ。
注意:帰無分布(帰無仮説の下での検定統計量の分布)に付いては、正確な分布を用いるものと、近似分布を 用いるものがある。両者がオプションで選べるものもあれば、近似分布しか使えないものもある。
R の検定関数は検定の副産物として、関連パラメータの信頼区間を同時に計算するようになっている。
注意:統計量の帰無仮説の下での分布を漸近近似で求めるものが多数を占める。こうした場合一般論として データの数がある程度大きいことが前提条件になる。特にヘルプドキュメントに注意が無いことが多いが、実際は 近似が不十分と思われる場合は警告が出る関数がある。
ノンパラメトリック検定とは、通常母集団分布に対しては密度関数を持つことだけを仮定し、 順序(特にランク)統計量を基礎とする検定統計量を用いる検定のことである。これらの検定関数の中には オプションでパラメトリック検定を実行できるものもある。
尺度パラメータの同一性についての検定である。
## 既定のメソッド ansari.test(x, y, alternative = c("two.sided", "less", "greater"), exact = NULL, conf.int = FALSE, conf.level = 0.95, ...) ## クラス "formula" に対する S3 メソッド ansari.test(formula, data, subset, na.action, ...)
各標本群の分散が同一であるという帰無仮説に対する Fligner-Killeen (メディアン) 検定を行う。
## 既定の S3 メソッド fligner.test(x, g, ...) ## クラス "formula" に対する S3メソッド fligner.test(formula, data, subset, na.action, ...)
繰りかえしの無いブロックデータに対する Friedman の順位和検定を行う。
## 既定の S3 メソッド: friedman.test(y, groups, blocks, ...) ## クラス "formula" に対する S3メソッド friedman.test(formula, data, subset, na.action, ...)
Kruskal-Wallis の順位和検定を実行する。
## 既定の S3 メソッド: kruskal.test(x, g, ...) ## クラス "formula" に対する S3 メソッド kruskal.test(formula, data, subset, na.action, ...)
一・二標本 Kolmogorov-Smirnov 検定を実行する。
ks.test(x, y, ..., alternative = c("two.sided", "less", "greater"), exact = NULL)
二次元分割表の行と列の間の対称性に対する McNemar のカイ自乗検定を行う。
mcnemar.test(x, y = NULL, correct = TRUE)
二標本のスケールパラメータ(散布度)の差についての Mood 検定を行う。
## 既定の S3 メソッド: mood.test(x, y, alternative = c("two.sided", "less", "greater"), ...) ## クラス "formula" に対する S3 メソッド: mood.test(formula, data, subset, na.action, ...)
繰り返しの無いブロックデータに対する Quade 検定を実行する。
quade.test(y, ...) ## 既定の S3 メソッド: quade.test(y, groups, blocks, ...) ## クラス "formula" に対する S3 メソッド: quade.test(formula, data, subset, na.action, ...)
正規性に対する Shapiro-Wilk 検定を行う。
shapiro.test(x)
一・二変量データベクトルに対する Wilcoxon の順位和検定と符号順位検定を実行する。
wilcox.test(x, ...) ## 既定の S3 メソッド: wilcox.test(x, y=NULL, alternative=c("two.sided","less","greater"), mu = 0, paired = FALSE, exact = NULL, correct = TRUE, conf.int = FALSE, conf.level = 0.95, ...) ## クラス "formula" に対する S3 メソッド: wilcox.test(formula, data, subset, na.action, ...)
「幾つかの標本の分散が同一」という帰無仮説を検定する。
## 既定の S3 メソッド bartlett.test(x, g, ...) ## クラス "formula" に対する S3メソッド bartlett.test(formula, data, subset, na.action, ...)
ベルヌイ試行の成功確率に関する単純帰無仮説の正確な検定を行う。
binom.test(x, n, p = 0.5, alternative = c("two.sided", "less", "greater"), conf.level = 0.95)
分割表に対するカイ自乗検定を実行する。
chisq.test(x, y = NULL, correct=TRUE, p=rep(1/length(x),length(x)), simulate.p.value = FALSE, B = 2000)
対になった標本間の関連度の検定を、Pearson の積率相関係数(通常の意味の相関係数)、 Kendall の順位相関係数 τ、または Spearman の順位相関係数 ρ を用いて実行する。
## 既定の S3 メソッド cor.test(x, y, alternative = c("two.sided", "less", "greater"), method = c("pearson", "kendall", "spearman"), exact = NULL, conf.level = 0.95, ...) ## クラス "formula" に対する S3メソッド cor.test(formula, data, subset, na.action, ...)
周辺和が固定された分割表の行と列が独立であるという帰無仮説に対する Fisher の正確検定を実行する。
fisher.test(x, y = NULL, workspace = 200000, hybrid = FALSE, control = list(), or = 1, alternative = "two.sided", conf.level = 0.95)
3次の相互作用が無いという仮定の下で、二つの名義尺度変数が各層毎に条件付き独立である という帰無仮説の Cochran-Mantel-Haenszel カイ自乗検定を実行する。
mantelhaen.test(x, y = NULL, z = NULL, alternative = c("two.sided", "less", "greater"), correct = TRUE, exact = FALSE, conf.level = 0.95)
一元配置の 2 もしくはそれ以上の正規標本の平均の同一性を検定する。 分散は必ずしも同一でなくても良い。
oneway.test(formula, data, subset, na.action, var.equal = FALSE)
複数のグループの比率(成功確率)が等しい、または与えられた値に等しいという 帰無仮説を検定する。
prop.test(x, n, p = NULL, alternative = c("two.sided", "less", "greater"), conf.level = 0.95, correct = TRUE)
比率中の傾向に対するカイ自乗検定を行う。 つまり、対数オッズが socre に応じて変化するという局所対立仮説に 対する漸近的に最適な検定である。既定では score はグループ番号(1,2,,,k)とされる。
prop.trend.test(x, n, score = 1:length(x))
データベクトルに対し一・二標本 t 検定を行う。
## 既定の S3 メソッド: t.test(x, y = NULL, alternative = c("two.sided", "less", "greater"), mu=0, paired=FALSE, var.equal=FALSE, conf.level=0.95, ...) ## クラス "formula" に対する S3 メソッド: t.test(formula, data, subset, na.action, ...)
正規データからの二標本の分散を比較する F 検定を行う。
## 既定の S3 メソッド: var.test(x, y, ratio = 1, alternative = c("two.sided", "less", "greater"), conf.level = 0.95, ...) ## クラス "formula" に対する S3 メソッド: var.test(formula, data, subset, na.action, ...)
p 値のベクトルを与えて、幾つかの方法を用いて多重比較補正された p 値の ベクトルを返す。
p.adjust(p, method=p.adjust.methods, n=length(p)) ## 補正法の名称の文字列ベクトル p.adjust.methods
多重比較補正を伴う、対毎の比率の比較を行う。
pairwise.prop.test(x, n, p.adjust.method = p.adjust.methods, ...)
多重比較補正を伴うグループ水準間の、対毎の t 検定による比較を行う。
pairwise.t.test(x, g, p.adjust.method = p.adjust.methods, pool.sd = TRUE, ...)
グループ水準の各組合せ毎に Wilcoxon の順位和検定を実施し、p 値に対する多重比較補正を行う。
pairwise.wilcox.test(x, g, p.adjust.method=p.adjust.methods, ...)
一元配置分散分析検定の検出力(パワー)を計算する。 または目的の検出力を得るためのパラメータを計算する。
power.anova.test(groups = NULL, n = NULL, between.var = NULL, within.var = NULL, sig.level = 0.05, power = NULL)
比率の検定に対する検出力を計算する。 または目標の検出力を得るために必要なパラメータを計算する。
power.prop.test(n = NULL, p1 = NULL, p2 = NULL, sig.level = 0.05, power = NULL, alternative = c("two.sided", "one.sided"), strict = FALSE)
一・二標本の t 検定を行う。または、目標の検出力を 得るために必要なパラメータの決定を行う。
power.t.test(n=NULL, delta=NULL, sd=1, sig.level=0.05, power=NULL, type=c("two.sample", "one.sample", "paired"), alternative=c("two.sided", "one.sided"), strict=FALSE)
検出力計算オブジェクトのプリントメソッド。 クラス "power.htest" のオブジェクトを整形して出力する。
## クラス "power.htest" に対するS3メソッド: print(x, ...)