このページでは,
  R FAQ
  Frequently Asked Questions on R
  Version 1.7-27, 2003-07-16
  ISBN 3-901167-51-X
  Kurt Hornik
(http://cran.r-project.org/doc/FAQ/R-FAQ.html ) の第 2章の日本語訳に取り組みます.

- 担当者: yy
- 修正案の取扱い: みなさまからの修正案は, 下記のコメント欄に書いていただければと思います. 修正そのものは (当面は) 担当者が行います.
- 分担翻訳の取扱い: 期限を区切って, それまでの間は担当者がひととおりの翻訳を行い, その後, 他の方に翻訳の分担をお願いすべきか検討したいと思います (期限: 2003年 8月 31日まで). よろしくお願いします.
- 注意点: そのまま訳すと意味がわかりにくくなりそうな場合, オリジナル (英文) の表現やレイアウト等を変更しています.
- 注意点: 訳注は { } で囲って示します.
-What is R? で、「枝分かれ」よりも「条件分岐」が適当ではないでしょうか。 -- [[hoge]] &new{2003-09-22 (月) 23:48:25};
-What doc... で、「外国語のインタフェース」は「他のプログラミング言語とのインタフェース」でしょう。 -- [[hoge]] &new{2003-09-22 (月) 23:52:22};
-「枝分かれ」→「条件分岐」, 「外国語のインタフェース」→「他言語とのインターフェイス」に書き換えました. -- [[yy]] &new{2003-09-26 (金) 23:24:49};

#comment
//#comment

----

* R-FAQ 日本語訳全体の目次

- [[R-FAQ日本語訳]] (ルート・ページ)
- [[1. 導入 (Introduction)>R-FAQ日本語訳(1章)]]
- [[2. R の基礎 (R Basics)>R-FAQ日本語訳(2章)]]
- [[3. R と S (R and S)>R-FAQ日本語訳(3章)]]
- [[4. R の Web インターフェイス (R Web Interfaces)>R-FAQ日本語訳(4章)]]
- [[5. R のアドオン・パッケージ (1) (R Add-On Packages)>R-FAQ日本語訳(5.1章)]]
- [[5. R のアドオン・パッケージ (2-6) (R Add-On Packages)>R-FAQ日本語訳(5.2-6章)]]
- [[6. R と Emacs (R and Emacs)>R-FAQ日本語訳(6章)]]
- [[7. R について雑多なこと (R Miscellanea)>R-FAQ日本語訳(7章)]]
- [[8. R のプログラミング (R Programming)>R-FAQ日本語訳(8章)]]
- [[9. R のバグ (R Bugs)>R-FAQ日本語訳(9,10章)]]
- [[10. 謝辞 (Acknowledgments)>R-FAQ日本語訳(9,10章)]]

----

* 2. R の基礎 (R Basics)

- R とは何ですか? (What is R?)
- どの計算機上で R は動作しますか? (What machines does R run on?)
- R の現在のヴァージョンは何ですか? (What is the current version of R?)
- どのようにして R を入手することができますか? (How can R be obtained?)
- R はどのようにしてインストールできますか? (How can R be installed?)
- R の Unix バイナリーはありますか? (Are there Unix binaries for R?)
- R にはどんな文書がありますか? (What documentation exists for R?)
- R を引用するには (Citing R)
- R にはどのようなメーリング・リストが存在しますか? (What mailing lists exist for R?)
- CRAN とは何ですか? (What is CRAN?)
- 商用目的で R を使うことができますか? (Can I use R for commercial purposes?)

** 2.1 R とは何ですか? (What is R?)

R は統計処理計算およびグラフィクスのためのシステムです. R は, 統計処理言語に加えて, グラフィクス, デバッガー, ある種のシステム関数へのアクセス, およびスクリプト・ファイルに格納されたプログラムを実行する能力を伴うランタイム環境で構成されています.

R のデザインは, 2つの既存の言語に強く影響を受けてきました. それは, Becker, Chambers および Wilks の S (「S とは何ですか?」 (What is S?) 参照) および Sussman の Scheme です. その結果として生まれた R の言語は, S と見た目が非常に似ているのに対して, R の実装およびセマンティクスは Scheme から派生しています. さらに詳しくは, 「R と S の違いは何ですか?」 (What are the differences between R and S?) を参照してください.

R の中核は, インタープリター型のコンピューター言語で, 条件分岐, ループ, および関数を用いるモジュラー・プログラミングが可能になっています. R においてユーザーに見える関数の大部分は R で書かれています. 効率性のためには, C, C++, あるいは FORTRAN 言語で書かれた手続きとのインターフェイスも可能です.

R のディストリビューションには, 多数の統計処理手続きのための機能が含まれています. その中にはつぎのようなものがあります: 線形および一般化線形モデル, 非線形回帰モデル, 時系列解析, 古典的なパラメトリックおよびノンパラメトリック検定, クラスタリングおよび平滑化. さまざまな特定の目的に合わせて, 追加のモジュール ("アドオン・パッケージ") が入手可能です (「R のアドオン・パッケージ」 (R Add-On Packages) 参照).

R は当初, ニュージーランドのオークランドにある The Department of Statistics of the University of Auckland で Ross Ihaka および Robert Gentleman によって書かれました. 加えて, 多数の個人の有志たちが, コードやバグ・レポートを送って, R に貢献してきました.

1997年半ば以来, R のソース・コードの CVS アーカイヴを修正することのできる中核的グループ (「R コア・チーム」 ("R Core Team")) が存在しています. 現在, そのグループを構成するメンバーは, Doug Bates, John Chambers, Peter Dalgaard, Robert Gentleman, Kurt Hornik, Stefano Iacus, Ross Ihaka, Friedrich Leisch, Thomas Lumley, Martin Maechler, Duncan Murdoch, Paul Murrell, Martyn Plummer, Brian Ripley, Duncan Temple Lang, および Luke Tierney です.

R は http://www.r-project.org/ にホームページがあります. R は GNU スタイルのコピーレフトの下で配布されるフリー・ソフトウエアであり, GNU プロジェクトのオフィシャルな一部 ("GNU 版 S") となっています.

** 2.2 どの計算機上で R は動作しますか? (What machines does R run on?)

R は, Unix, Windows および Mac 系の OS 用に開発されています. Mac OS Classic 用のサポートは, R 1.7 シリーズで終了する予定です.

R の現在のヴァージョンは多数の一般的な Unix プラットフォームの下で設定およびビルド (configure and build) することになっています. それは以下のプラットフォームを含んでいます: i386-freebsd, i386 用の cpu-linux-gnu, alpha, arm, hppa, ia64, m68k, powerpc, および sparc CPUs (たとえば, http://buildd.debian.org/build.php?&pkg=r-base 参照), i386-sun-solaris, powerpc-apple-darwin, mips-sgi-irix, alpha-dec-osf4, rs6000-ibm-aix, hppa-hp-hpux, および sparc-sun-solaris.

もしもあなたが他のプラットフォームについて知っていれば, 私たちまでご連絡ください.

** 2.3 R の現在のヴァージョンは何ですか? (What is the current version of R?)

現在のリリース・ヴァージョンは 1.7.1 です. 「メジャー.マイナー.パッチレヴェル」(`major.minor.patchlevel') というヴァージョン・ナンバーの付け方に基づいて, R には 2種類の開発ヴァージョンが存在します. 1つは次回のパッチに向けて (`r-patched'), もう 1つは次回のマイナー (ときにメジャー) ヴァージョン・アップに向けて (`r-devel') 開発を進めているヴァージョンです. ヴァージョン r-patched は主としてバグ・フィクスのためのものです. 新機能はたいてい r-devel で導入されます.

** 2.4 どのようにして R を入手することができますか? (How can R be obtained?)

R のソース, バイナリーおよび文書は, CRAN, つまり「総合的 R アーカイヴ・ネットワーク」("Comprehensive R Archive Network") 経由で入手することができます (「CRAN とは何ですか?」 (What is CRAN?) 参照).

ソースは, anonymous rsync 経由でも入手可能です. カレント・ディレクトリーのサブディレクトリー R の下に, module で指定されたソースのツリー構造ごと, コピーを生成するには, つぎのコマンドを用います:

     rsync -rC rsync.r-project.org::module R

ここで, module には, 現行の 3種類の R ソースのうちの 1つを指定します. それは, r-release (現在のリリース・ヴァージョン), r-patched (パッチを適用したリリース・ヴァージョン), および r-devel (開発ヴァージョン) のうちの 1つにすることができます. この rsync のツリー構造は, マスター CVS アーカイヴから直接生成され, 1時間毎にアップデートされます. rsync コマンドに -C オプションを付けると, CVS ディレクトリーをスキップするようになります. rsync に関するさらに詳しい情報は http://rsync.samba.org/rsync/ で入手可能です.

** 2.5 R はどのようにしてインストールできますか? (How can R be installed?)

-  R はどのようにしてインストールできますか? (Unix 編) (How can R be installed (Unix))
-  R はどのようにしてインストールできますか? (Windows 編) (How can R be installed (Windows))
-  R はどのようにしてインストールできますか? (Macintosh 編) (How can R be installed (Macintosh))

*** 2.5.1  R はどのようにしてインストールできますか? (Unix 編) (How can R be installed (Unix))

もしもあなたのプラットフォーム用のバイナリーが入手可能ならば (「R 用の Unix バイナリーはありますか?」 (Are there Unix binaries for R?) 参照), バイナリーに付属の説明書に従って, バイナリーを使ってインストールすることができます.

そうでない場合は, R をあなた自身でコンパイルし, インストールすることができます. 多数の一般的な Unix プラットフォームで非常に簡単にインストールすることができます (「どの計算機上で R は動作しますか?」 (What machines does R run on?) 参照). R のディストリビューションに付属のファイル INSTALL には簡潔な手引きが含まれており, 「R のインストールおよび管理」 ("R Installation and Administration") ガイド (「R にはどのような文書が存在しますか?」 (What documentation exists for R?) 参照) に完全な詳細説明があります.

R の構築には, C コンパイラーに加えて FORTRAN コンパイラーか f2c (訳注. FORTRAN から C へのコンヴァーター) が必要なのでご注意ください. また, R のオブジェクト文書を構築するには, Perl ヴァージョン 5 が必要です. (もしも Perl が利用できない場合でも, CRAN 経由でオブジェクト・リファレンス・マニュアルの PDF ヴァージョンを入手することができます.)

もっとも簡単な場合では, R ソース・コードを展開 (untar) して, その展開されたディレクトリーに移動し, 下記のコマンドを (シェル・プロンプトで) 実行します:

     $ ./configure
     $ make

これらのコマンドの実行に成功すると, R バイナリー, および R という名前のフロント‐エンド (シェル・スクリプト) が生成されて, bin ディレクトリーにコピーされます. このスクリプトは, ユーザーによって起動可能な場所, たとえば, /usr/local/bin にコピーすることができます. さらに, プレーン・テキスト形式のヘルプ・ページや, HTML および [[LaTeX]] ヴァージョンの文書が構築されます.

doc/manual サブディレクトリー内の refman.dvi (R オブジェクトのリファレンス・インデクス) や, R-exts.dvi (「R 拡張の作者ガイド」 ("R Extension Writers Guide")) といった, R マニュアルの DVI ヴァージョンを生成するには, make dvi を用いてください. これらのファイルは, xdvi や dvips といった標準的なプログラムを用いて, プレヴューやプリントをすることができます. また, make pdf を用いれば, マニュアルの PDF ヴァージョンを構築することができます. PDF ファイルは, たとえば Acrobat を用いて, 眺めることができます. また, GNU Texinfo システムで書かれたマニュアルは, Emacs の info 用の, あるいはスタンド‐アローンの GNU Info 用の, info ファイルに変換することができます. これらのヴァージョンを生成するには make info を用いてください (これには, makeinfo ヴァージョン 4 が必要なのでご注意ください).

最後に, make check を用いて, あなたが構築した R が正しく動作するかどうか調べます.

また, make install を用いれば, R を "system-wide" に (訳注. つまり, 1ユーザーの HOME 内ではなく) インストールすることができます. ディフォールトでは, つぎのようなディレクトリーにインストールすることになります:

:${prefix}/bin|フロント‐エンド (シェル・スクリプト)
:${prefix}/man/man1|man ページ
:${prefix}/lib/R|それ以外全部 (ライブラリー, オンライン・ヘルプ, ...). これは, インストールされたシステムの「R ホーム・ディレクトリー」 (R_HOME) です.

上記で, prefix は, インストール設定 (configuration) 時に決定され (一般的には, /usr/local), configure を実行する際に下記のオプションで設定することができます

     $ ./configure --prefix=/where/you/want/R/to/go

(この設定では, たとえば R の実行形式は /where/you/want/R/to/go/bin 内にインストールされることになります).

マニュアルの DVI, info および PDF ヴァージョンをインストールするには, それぞれ, install-dvi, make install-info および make install-pdf を用いてください.

*** 2.5.2 R はどのようにしてインストールできますか? (Windows 編) (How can R be installed (Windows))

CRAN サイトの bin/windows ディレクトリーには, (少なくとも) Intel およびクローン上の (それ以外のプラットフォームではなく), Windows 95, 98, ME, NT4, 2000, および XP で R を動作させるための, ベース・ディストリビューションおよび多数のアドオン・パッケージのためのバイナリーが入っています. R の Windows ヴァージョンは Robert Gentleman が制作しました. そして現在は Duncan Murdoch および Brian D. Ripley が開発・保守を行っています.

ほとんどのインストールでは, Windows のインストーラー・プログラムがもっとも簡単に使えるツールでしょう.

より詳しくは, "R for Windows FAQ" をご参照ください.

*** 2.5.3 R はどのようにしてインストールできますか? (Macintosh 編) (How can R be installed (Macintosh))

CRAN サイトの bin/macos ディレクトリーには, MacOS 8.6 から MacOS 9.1 まで, あるいは MacOS X 上でネイティヴに動作させるための, ベース・ディストリビューションおよび多数のアドオン・パッケージのための bin-hexed (hqx) および stuffit (sit) 形式のアーカイヴが入っています. R の Mac ヴァージョンおよび Mac バイナリーは Stefano Iacus が保守しています.

"R for Macintosh FAQ/DOC" に, より詳しい情報があります.

MacOS X (Darwin) の X11 用のベース・ディストリビューションのバイナリーは, Jan de Leeuw によって入手可能になりました. CRAN サイトの bin/macosx ディレクトリーにあります.

** 2.6 R の Unix バイナリーはありますか? (Are there Unix binaries for R?)

CRAN の bin/linux ディレクトリーには,
- i386 プラットフォーム用の Debian (stable (安定版)/testing (テスト版)) パッケージ (現在は Debian ディストリビューションの一部となっており, Dirk Eddelbuettel が保守しています)
- Michele Alzetta による Mandrake 8.0/8.1/8.2/9.0/9.1 の i386 パッケージ
- Red Hat 7.x/8.x/9 の i386 パッケージと 7.x の alpha パッケージ (それぞれ, Martyn Plummer と Naoki Takebayashi が保守しています)
- Detlef Steuer による SuSE 7.3/8.0/8.1/8.2 の i386 パッケージ
- Susunu Tanimura による VineLinux 2.6 の i386 パッケージ

が入っています.

Debian パッケージには, APT (Debian パッケージ管理ツール) を使ってアクセスすることができます. ただ単に, ファイル /etc/apt/sources.list につぎの行を追加してください

  deb http://cran.r-project.org/bin/linux/debian distribution main

(ここで, distribution は stable あるいは testing です; CRAN のマスター・サイトの代わりに, ミラー・サイトを自由にご利用ください). ひとたび上記の行を追加すれば, プログラム群 apt-get, apt-cache, および dselect (apt アクセス・メソッドを用いる) が自動的に, R パッケージのアップデートを検知してインストールするでしょう.

現在のところ, これ以外のバイナリーのディストリビューションは公式には入手可能なものはありません.

** 2.7 R にはどんな文書がありますか? (What documentation exists for R?)

R の関数と変数の大部分についてオンライン文書が存在し, R のプロンプトで help(name) (あるいは ?name) とタイプすることでスクリーン上に表示することができます. ここで, name は探したいトピックの名前です. (単項演算子, 2項演算子, およびコントロール・フローの特別な形式の場合は, その名前をクォートする必要があります.)

この文書は, HTML および PDF 形式でオンラインで読めるように 1つのリファレンス・マニュアルとして, また, [[LaTeX]] を使ったハードコピーとして, 入手可能です. 「R はどのようにしてインストールできますか?」 (How can R be installed?) をご参照ください. 最新の HTML ヴァージョンはつねに, http://stat.ethz.ch/R-manual/ から web ブラウズ用のものが入手可能です.

R のディストリビューションにはまた, 下記のマニュアルが添付されています.
-「R 入門」 ("An Introduction to R") (R-intro) には, データ型, プログラミング要素, 統計モデリングおよびグラフィクスに関する情報が入っています. このドキュメントは, Bill Venables および David Smith の「S-Plus に関するノート」 ("Notes on S-PLUS") を基にしています.
-「R の機能拡張を書くには」("Writing R Extensions") (R-exts) には, 現在のところ, R のアドオン・パッケージを作る過程, R の文書を書くこと, R のシステムおよび他言語とのインターフェイス, および R API が記載されています.
-「R のデータのインポート/エクスポート」 ("R Data Import/Export") (R-data) は, R に (R から) データをインポート/エクスポートするためのガイドです.
-「R 言語の定義」 ("The R Language Definition") (R-lang), これは "Kernighan & Ritchie of R" の最初のヴァージョンであり, 評価, 構文解析, オブジェクト指向プログラミング, この言語での計算, 等々について説明しています.
-「R のインストールおよび管理」 ("R Installation and Administration") (R-admin).

R に関する書籍にはつぎのようなものがあります:

- Peter Dalgaard (2002), "Introductory Statistics with R", Springer: New York, ISBN 0-387-95475-9.

- J. Fox (2002), "An R and S-PLUS Companion to Applied Regression", Sage Publications, ISBN 0-761-92280-6 (softcover) or 0-761-92279-2 (hardcover), http://www.socsci.mcmaster.ca/jfox/Books/Companion/.

- W. N. Venables and B. D. Ripley (2002), "Modern Applied Statistics with S. Fourth Edition". Springer, ISBN 0-387-95457-0

この書籍は, http://www.stats.ox.ac.uk/pub/MASS4/ にホームページがあり, 追加資料を提供しています. この関連書籍は

- W. N. Venables and B. D. Ripley (2000), "S Programming". Springer, ISBN 0-387-98966-8

これは, 商用の S-Plus およびオープンソースの R というデータ分析ソフトウエア・システムの両方の基盤をなす S 言語でソフトウエアを書くための詳細なガイドを提供します. さらに詳しい情報については, http://www.stats.ox.ac.uk/pub/MASS3/Sprog/ をご参照ください.

R について特別に, あるいは明示的に書かれた資料に加えて, S/S-Plus (「R と S」(R and S) 参照) についての文書を, この FAQ (「R と S の違いは何ですか?」 (What are the differences between R and S?) 参照) と組み合せて用いることができます. 入門的な書籍にはつぎのようなものがあります:

- P. Spector (1994), "An introduction to S and S-PLUS", Duxbury Press.

- A. Krause and M. Olsen (2002), "The Basics of S-PLUS" (Third Edition). Springer, ISBN 0-387-95456-2

- J. C. Pinheiro and D. M. Bates (2000), "Mixed-Effects Models in S and S-PLUS", Springer, ISBN 0-387-98957-0

これは, 線形および非線形の混合効果モデルのための nlme パッケージの使い方について総合的なガイドを提供します. http://nlme.stat.wisc.edu/MEMSS/ にホームページがあります.

初級 (advanced introductory) 統計学コースの教材に R を用いる例としては,

- D. Nolan and T. Speed (2000), "Stat Labs: Mathematical Statistics Through Applications", Springer Texts in Statistics, ISBN 0-387-98974-9

これは, 統計学の理論とケース・スタディ集 ("labs") を用いた統計学の演習を統合的に取り扱っていて, データの解析に R を用いています. より詳しい情報は http://www.stat.Berkeley.EDU/users/statlabs/ で見つけることができます.

最後に大事なことですが, R の設計および実装における Ross および Robert の経験がつぎの書籍に記載されています:

- Ihaka & Gentleman (1996), "R: A Language for Data Analysis and Graphics", Journal of Computational and Graphical Statistics, 5, 299-314.

「R を引用するには」 (Citing R) をご参照ください.

上記の参考文献の大部分を含む, R 関連の出版物についての注釈付き参考文献リスト ([[BibTeX]] 形式) は下記で見つけることができます:

  http://www.r-project.org/doc/bib/R.bib

** 2.8 R を引用するには (Citing R)

出版物で R を引用するには, 下記をご利用ください:

  @article{,
    author = {Ross Ihaka and Robert Gentleman},
    title ={R: A Language for Data Analysis and Graphics},
    journal = {Journal of Computational and Graphical Statistics},
    year = 1996,
    volume = 5,
    number = 3,
    pages = {299--314}
  }

** 2.9 R にはどのようなメーリング・リストが存在しますか? (What mailing lists exist for R?)

Martin Maechler の尽力により, R 専用の 3つのメーリング・リストがあります.

:r-announce|このリストは, R の開発および新しいコードの入手・利用情報についてのアナウンスに関するものです.
:r-devel|このリストは, R の将来および新しいヴァージョンの予備テストについて討論するためのものです. これは, R の開発においてアクティヴな立場を保持する人々ために充てられています.
:r-help|これは, `メインの' R メーリング・リストで, R の開発および新しいコードの入手・利用情報についてのアナウンス, R を用いる問題および解決方法についての質問および回答, R のソース・コードおよび文書への強化およびパッチ, S および S-Plus との比較および互換性, そして, 良い例およびベンチマークの投稿に関するものです.

注. r-announce リストに投稿されたものは r-help にも転送されるので, 両方とも購読する必要はありません.

r-help メーリング・リストの全員に届けたい場合は, r-help@lists.r-project.org に e-mail を送ってください. このリストを購読したい (あるいは購読を止めたい) 場合は, メールの本文に (サブジェクト欄ではなく!) subscribe (購読中止の場合は unsubscribe) と記載して r-help-request@lists.r-project.org 宛に送ってください. このリストについての情報を入手するには, メール本文に info と記載して, r-help-request@lists.r-project.org 宛に送ってください.

他のリストの購読や投稿は同様にして, `r-help' を`r-announce' や `r-devel' に置き換えて行ってください.

`r-help' および `r-devel' の購読は, ダイジェスト形式も可能です. より詳しい情報は, CRAN の doc/html/mail.html ファイルをご参照ください.

メールは, R のコアな開発者たちにだけ送るよりも, r-help 宛に送ることが推奨されています (コアな開発者たちはもちろん r-help を購読しています). そうすれば, 彼らが絶えず R を改良するための貴重な時間を確保することができるし, 質問者にとっても, たいていは (コアな開発者たちにだけ送るよりも) ずっと速くフィードバックが得られます.

もちろん, バグ・レポートの場合は, その問題を確実に再現するコードが添付されていると非常に役に立つでしょう. また, 使用しているシステムおよび R のヴァージョンについての情報を必ず入れておいてください. さらに詳しくは, 「R のバグ」 (R Bugs) をご参照ください.

上記の 3つのメーリング・リストのアーカイヴは, 月ごとの予定で, CRAN の doc/html/mail.html ファイルから, ネット上で入手できるようになっています. これらのリストの検索可能なアーカイヴは http://maths.newcastle.edu.au/~rking/R/ から入手可能です.

R コア・チームへのコメントおよびレポートは, r-core@lists.r-project.org 宛に送ることができます.

** 2.10 CRAN とは何ですか? (What is CRAN?)

総合的 R アーカイヴ・ネットワーク ("Comprehensive R Archive Network") (CRAN) は, R のディストリビューション, 寄贈された機能拡張, R についての文書, およびバイナリーで構成される, 同一の中身を持つサイトの集合体です.

オーストリアのウィーン工科大学 (TU Wien) にある CRAN のマスター・サイトは, 下記の URL で見つけることができます:

    http://cran.r-project.org/ 

そして, 毎日, 下記のサイトにミラーしています:

    http://cran.at.r-project.org/ (TU Wien, Austria)
    http://cran.au.r-project.org/ (PlanetMirror, Australia)
    http://cran.br.r-project.org/ (Universidade Federal de Paraná, Brazil)
    http://cran.ch.r-project.org/ (ETH Zürich, Switzerland)
    http://cran.de.r-project.org/ (APP, Germany)
    http://cran.dk.r-project.org/ (SunSITE, Denmark)
    http://cran.hu.r-project.org/ (Semmelweis U, Hungary)
    http://cran.uk.r-project.org/ (U of Bristol, United Kingdom)
    http://cran.us.r-project.org/ (U of Wisconsin, USA)
    http://cran.za.r-project.org/ (Rhodes U, South Africa)

ネットワークの負荷を減らすため, あなたにとっていちばん近い CRAN サイトを利用するようにお願いします.

CRAN からは, R の最新の公式リリース版および R の日々のスナップショット (現在の CVS ツリーのコピー) を gzipped/bzipped tar 形式のファイルで, 豊富な追加の寄贈コード, そして, さまざまな OS (Linux, MacOS Classic, MacOS X, および MS Windows) 用のビルド済のバイナリーを取得することができます. CRAN はまた, R に関する文書へのアクセス手段, 既存のメーリング・リスト, および R のバグ追跡 (R Bug Tracking) システムを提供します.

CRAN に「投稿」するには, ただ単に ftp://cran.r-project.org/incoming/ にアップロードして, cran@r-project.org 宛にメールを送ってください. CRAN では, セキュリティ上の理由により, コンパイル済のバイナリーの投稿は受け付けませんのでご注意ください.

注意: あなたは, 投稿時に, コピーライト (ライセンス) 情報 (GPL, BSD, Artistic, ...) を表示することが非常に重要です.

CRAN を照会するときには, つねにマスター・サイトの URL を用いるようにお願いします.

** 2.11  商用目的で R を使うことができますか? (Can I use R for commercial purposes?)

R は GNU General Public License (GPL) の下でリリースされています. もしも, 何らかの特定の状況で R を使用することの法的見地について何か質問があるならば, あなたの弁護士にご相談ください. 私たちは, 法的助言を与える立場にありません.

R コア・チームの見解は, R を商用目的に (たとえば, ビジネスやコンサルティングで) 使用できるというものです. GPL は, オープン・ソース・ライセンスのように, パッケージのあらゆる使用を認めています. このライセンスは, R の配布あるいは R のコードを含む他のプログラムの配布についてだけ制限しています. これは, オープン・ソース定義 (Open Source Definition) の条項 6 (「利用する分野に対する差別の禁止」 ("No Discrimination Against Fields of Endeavor")) に明記されています:

> ライセンスは, 誰かが特定の利用分野でプログラムを使用することを制限してはいけません. たとえば, ビジネスや, あるいは遺伝の研究にプログラムを使用することを制限してはいけません.

これは, GPL の条項 0 でも明示的に記述されており, その一部でつぎのように述べられています:

> コピー, 配布および修正以外の活動はこのライセンスではカヴァーされません; それらの活動はこのライセンスの範囲外です. そのプログラムを実行させる行為は制限されず, また, そのプログラムの出力結果は, その内容がそのプログラムに基づく著作物を構成する場合にのみカヴァーされます.

推奨アドオン・パッケージを含むほとんどのアドオン・パッケージは, 商用での使用をこのような形式で明示的に認めています. ほんの少数のパッケージが「非商用目的」に制限されています. このようなパッケージを使ってもよいかどうかをはっきりさせるには, 作者に問い合わせるか, あるいはあなたの弁護士の助言を求めるべきでしょう.

このセクションの議論はいずれも, 法的助言を構成しません. R コア・チームは, いかなる状況下でも法的助言を与えることはありません.

----

{ 2章おわり }

最終更新日: 2003-07-31 (木) 00:11:11

トップ   編集 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS